スケールとは何か
スケール(scale)は「音階」と呼ばれるもので、音を順番に並べたものです。
例えば「ドレミファソラシド」もスケールの一つです。
この並び方が変わることで、曲の雰囲気や響きが変化します。
スケールという言葉に難しそうな印象を持つかもしれませんが、
実は小学校の音楽で習った「長調(メジャー)」「短調(マイナー)」がそのままスケールの話です。
つまり、スケールとは「どんな音を使うかを決めるルール」です。
長調(メジャースケール)と短調(マイナースケール)
メジャースケール
一般的に「明るい」と感じる響きを持つスケールです。
ドレミファソラシドはCメジャースケール(ハ長調)と呼ばれ、
C(ド)から始まるメジャースケールを意味します。
Cメジャースケールは次のように並びます。
C – D – E – F – G – A – B – C
音の間隔(全音・半音)で表すと以下のようになります。
全音 → 全音 → 半音 → 全音 → 全音 → 全音 → 半音
この並び方のルールが「メジャースケールの型」です。
つまり、どの音から始めてもこの並び方を守ればメジャースケールになります。
マイナースケール
一方、マイナースケールは「暗い」「哀しい」と感じる響きを持ちます。
Aから始まるスケールで、ピアノの白鍵だけを使うとこうなります。
A – B – C – D – E – F – G – A
この並びが「Aマイナースケール(イ短調)」です。
Cメジャーと同じ白鍵だけを使っていることに気づくと思います。
つまり、CメジャーとAマイナーは使う音が同じなのです。
はじまる場所が違うだけで感じ方が変わるのって面白いですよね。
音の間隔(全音・半音)で表すと以下のようになります。
全音 → 半音 → 全音 → 全音 → 半音 → 全音 → 全音
なぜCメジャーとAマイナーがよく出てくるのか
CメジャーとAマイナーがスケールの説明でよく使われるのは、どちらもシャープ(#)やフラット(♭)を使わないスケールだからです。
ピアノで言えば白鍵だけで成立するため、最も基本的で理解しやすい組み合わせです。
CメジャーとAマイナーの関係は、「同じ音を使う明るいスケールと暗いスケール」という関係にあります。
この関係を平行調(へいこうちょう)と呼びます。
ベースでスケールを覚える際も、この「Cメジャー=Aマイナー」を出発点に考えると理解が早くなります。
ではDメジャーとは何か?
Cメジャースケールを「C」から始めたように、
今度は「D」から始めて、同じ「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」の間隔で音を並べると、
次のようになります。
D – E – F# – G – A – B – C# – D
このスケールがDメジャースケール(ニ長調)です。
Cメジャーとの違いは、FとCが半音上がっている点(#が付く点)です。
これにより、Dを基準とした“明るい響き”を作り出すことができます。
Dメジャーを理解することは、スケールの「型」を感覚で覚える上でとても重要です。
同じ型でも、どの音を“出発点”にするかで全く違う響きになる、という仕組みがスケールの本質です。
スケールを覚える必要はあるのか?
結論から言えば、覚える価値はありますが、暗記ではなく理解で使うものです。
なぜ覚える必要があるのか
ベースラインは、スケール上の音を使って組み立てられていることがほとんどです。
たとえば、Cメジャーの曲ならCメジャースケールの音だけでほぼ成立します。
スケールを知っていると、どの音を選べば曲に合うかが分かるようになります。
いつ使えるのか
- ベースラインを自分で作るとき
- アドリブやフィルインを入れるとき
- コード進行の上で音を選ぶとき
- 耳コピをしたときに音の関係を理解したいとき
これらの場面でスケールを理解していると、演奏の幅が一気に広がります。
スケールの活用イメージ
1. コードとスケールの関係を理解する
Cメジャーコード(C・E・G)は、Cメジャースケールから1・3・5番目の音を抜き出したものです。
つまり、スケールが分かればコードも理解できるようになります。
2. フレーズを分析できる
好きなベーシストのフレーズを耳コピしても、「なぜこの音がハマるのか」がわからないままでは応用できません。
スケールを知っていれば、「この人はAマイナースケールで動いている」「ここでブルーノートを入れている」と分析できます。
3. 自分のアドリブに活かせる
アドリブ(即興)では、どのスケールを使うかを判断して弾きます。
スケールを覚えることは、音の選択肢を増やすことにつながります。
覚え方のコツ
スケールをすべて丸暗記する必要はありません。
まずは「型」と「中心音(ルート)」を理解することから始めましょう。
- メジャースケールの並び(全・全・半・全・全・全・半)を覚える
- 任意の音をルートにして並びを作る
- それを指板上で弾いてみる
この3ステップを繰り返すことで、自然と他のスケールも身につきます。
「Cメジャーを知っている=全てのメジャースケールの基本を知っている」という考え方です。
よくある疑問Q&A
Q1. メジャースケールとマイナースケールは別々に覚える?
同じ構造の中で出発点が違うだけなので、両方を別々に覚える必要はありません。
Cメジャーを覚えていれば、Aマイナーは自動的に理解できます。
Q2. ベースで弾けるようにしておくべきスケールは?
まずはCメジャーとAマイナーから。
次にDメジャー、Gメジャー、Eマイナーと範囲を広げていくと実用的です。
Q3. スケール練習はフレーズ作りにどう役立つ?
スケール練習で身につくのは「音の距離感」です。
音がどうつながるかを体で覚えると、自然にフレーズを組み立てられるようになります。
まとめ
- スケールは「音を並べるルール」で、長調・短調のこと
- メジャー=明るい響き、マイナー=暗い響き
- CメジャーとAマイナーは同じ音で構成される代表的なスケール
- Dメジャーなど他のスケールも、間隔(全音・半音)のルールで作られる
- スケールは暗記ではなく理解して使うもの
- ベースライン・アドリブ・耳コピのすべてに役立つ
スケールは理論というよりも「音の地図」です。
どの場所にどんな音があるかを把握することで、自由にベースを操ることができるようになります。