はじめてベースアンプを使うと、つまみがいろいろ付いててよくわかんないなあ、と思われる方がほとんどかと思います。使い方以前にそもそもこのつまみ達が何者なのか解説します。
その前に アンプの中身の基本概念
ベースアンプのつまみの説明の前に、アンプの中身の概要を押さえておきましょう。アンプに音が入ってから出るまでの流れを理解することがつまみの意味を理解するのに必要です。アンプでは次からあげる順に音が処理されます。
入力部
インプットジャックの部分です。楽器からの信号をアンプに入力します。
プリアンプ部
楽器からの信号は非常に小さいので、入力される信号の量をここで調整します。
イコライザー部
音の信号を低域、中音域、高域などそれぞれ強調したり抑えたりして音の特徴を味付けします。ほとんどのベースアンプはダイヤル式のつまみで操作するパラメトリックイコライザーですが、帯域毎のスライダーで操作するグラフィックイコライザーを搭載したものもあります。
コンプレッサー部
コンプレッサー部分はベースアンプによってついていないこともあります(ついてることの方が珍しい)。音を圧縮して迫力を出したり音粒を揃えます。
出力部
最終的にアンプから出て行く音量を調整する部分です。パワーアンプともいいます。
イコライザー部とコンプレッサー部の順番はアンプの設計によって前後する場合があります(順番を任意で変えられるものもあります)。ベースアンプについているつまみは上記のどこかで調整可能なパラメータを設定するためのものです。それぞれがどの部分を弄るものなのか理解すると狙ったベースサウンドを作るのに一歩近づきます。
アンプについてるつまみの解説
アンプによってあったりなかったりするつまみもありますが、ここでは頻出のものを取り上げます。つまみの名前もアンプメーカーが好き勝手つけていますが、おおよそ同じ意味のものは並べて記載します。
入力部のつまみ(ジャック)
インプット(Input) / インスト(Instrument)
ベースに繋いだシールドのジャックを指す部分です。ベースのピックアップが拾った小さい音の信号がここから入ります。
パッシブ(Passive) / アクティブ(Active)
入力ジャックがパッシブとアクティブという名前になっている場合があります。自分のベースがパッシブならパッシブのジャックへ、アクティブならアクティブのジャックに接続します。ベースがパッシブかアクティブかは、ベースに電池が入ってるかどうでわかります。電池が必要ならアクティブ、そうでないならパッシブです。パッシブとアクティブで入力ジャックが分かれていない場合は、パッシブでもアクティブでも同じ穴にシールドを挿せば良いのですが、横に「-○○db」「Active」といった名前のボタンがついている場合があります。アクティブベースを繋ぐ場合はこのボタンを押します。そうすることで適正な入力音量になります。パッシブの場合は、「-○○db」「Active」ボタンは押さないようにしましょう。
プリアンプ部のつまみ
ゲイン(Gain) / インプット(Input)
アンプに入力する信号の量を調整します。真空管アンプの場合、ゲインを上げて入力音を増やして行くと音が歪み始めるポイントがあります。歪みの音をアンプで狙ってくる場合、このつまみを調整して好みの音を作ります。
※チューブ(Tube)、ソリッド(Solid)などの名前の場合があります。前者は真空管を使ったプリアンプの調整、後者はトランジスタを使ったプリアンプの調整をします。ほとんどのアンプが真空管かトランジスタひとつだけプリアンプを搭載しているので入力レベルのつまみ一つだけですが、これを両方搭載しているアンプもあります。その場合、チューブとソリッド両方のつまみが付いています。それぞれの入力音の調整ができるよう2つに分かれているというわけです。一般に、真空管は暖かい音、トランジスタら無機質な音と言われます。
イコライザー部のつまみ
ベース(Bass) / ロー(Low)
入力した信号の低音成分の量を調整します。パラメトリックイコライザーのひとつ。
ミドル(Middle)
入力した信号の中音域成分の量を調整します。パラメトリックイコライザーのひとつ。
※ミドルがローミッド、ハイミッドに分かれている場合があります。それぞれ、低域寄りの中音域、高域寄りの中音域を調整します。
フリケンシー(Frequency)
イコライザーのつまみが基準とする帯域を変化させるつまみが別についていることがあります。変化の対象とするつまみの側にあって、親切なものは周波数帯域が目盛りになっています。よくスタジオに置いてあるアンペグのベースアンプは周波数帯域ではなく、数字の連番になっています。公式サイトによると、1〜5のつまみはそれぞれ「220Hz, 450Hz, 800Hz, 1.6kHz and 3kHz」をミドルのつまみの基準にするよ、の意味とあります。
ハイ(High) / トレブル(Treble)
入力した信号の高域成分の量を調整します。パラメトリックイコライザーのひとつ。
プレゼンス(Presence)
入力した信号のハイより更に高域成分の量を調整します。パラメトリックイコライザーのひとつ。
コントゥアー(Contour)
名前は違いますが、ローやハイと同じ機能で周波数帯域の成分の量を調整します。
グラフィックイコライザー(Graphic Equalizer)
帯域毎のスライダーで調整するイコライザーです。グラフィックイコライザーを使用するかどうか切り替えるスイッチが付いている場合があり、その場合オンにした時だけ作用します。
コンプレッサー部のつまみ
コンプレッション(Compression)
音の圧縮をします。よくわからなければこのつまみは上げなくて良いです。
※スレッショルド、アタック、リリース、レシオというつまみに分離していたり、そういう名前になっているかもしれません。本来はこれらのパラメータをそれぞれ定めてコンプは作用します。ベースアンプについているコンプレッションのつまみはこれらのパラメータを、1つのつまみで、コンプがいい感じに効くようにしてくれているものです。コンプについては奥が深いので、ここではよくわからなければつまみを回さない、という説明に留めます。
出力部のつまみ
レベル(Level) / ボリューム(Volume) / マスター(Master) / アウトプット(Output)
アンプが出力する音量を調整します。マスターであれば確実に出力部のことですが、レベルやボリュームについては機種によっては入力部のコントロールを指している可能性があります。ほとんどがインプットジャックの近くには入力レベルのつまみが、その反対側に出力レベルのつまみが配置してあるのでこれをヒントに判断すると良いでしょう。
覚えられましたか?
いかがでしたか?アンプの中の部分とつまみの役割がわかると理解しやすいかと思います。アンプのつまみの意味が理解できれば、次はそれぞれを触ってみてどんな音がするのか体感してみると良いでしょう。これらの代表的な設定や音作りについては別の記事で取り上げます。