ベースを始めた初心者の方であれば、タブ譜(TAB)の存在をご存知でしょうか。ギターやベースなど、弦楽器を演奏する際に非常に便利なツールで、楽譜が読めなくても曲を演奏することができます。今回はベースのタブ譜の読み方について詳しく解説します。
1. タブ譜とは?
タブ譜は、一般的な五線譜とは異なり、弦楽器に特化した楽譜表記法の一つです。ベースの場合、4本の弦を表現するために4行のラインが使われ、その上にフレット番号が記載されています。これにより、どの弦のどのフレットを押さえるべきかを視覚的に表現しています。多弦ベースの場合はその分線の数が増えます。
4弦ベースの場合タブ譜は、以下のように表現されます。
G|----------------|----------------|----------------|----------------|
D|----------------|----------------|----------------|----------------|
A|----------------|----------------|----------------|----------------|
E|0---3---5----0-|3---6-5---------|0---3---5----3-|0---------------|
このタブ譜は、Deep Purpleの「Smoke on the Water」のイントロの一部です。E弦(一番下のライン)のフレットを0(開放弦)、3、5の順番で弾き、次に0、3、6、5の順に弾きます。
2. ベースのタブ譜の読み方
それでは、ベースのタブ譜の具体的な読み方について見ていきましょう。
2.1. 弦の識別
まず初めに理解すべきは、各行がどの弦を表しているかです。ベースの場合、一番上の行はG弦(最も細い弦)、下から二番目はD弦、下から三番目はA弦、一番下の行がE弦(最も太い弦)を表します。
2.2. フレットの識別
次に、各行に記載されている数字がどのフレットを指しているかを理解しましょう。数字は0(開放弦)から始まり、具体的なフレット数を指します。たとえば、「3」はその弦の3番目のフレット、「5」は5番目のフレットを指します。
2.3. 演奏の順序
タブ譜の数字は左から右へと読み進めていきます。これは一般的な文章の読み方と同様で、時間の経過と共に曲が進行していきます。また、同じ行に連続して数字が記載されている場合、その弦はその順番に弾かれることを意味します。
2.4. 同時に弾くノート
複数の弦が同時に弾かれる場合、タブ譜ではそれらのフレット番号が垂直に揃えて書かれます。このような場合、それらのノートを全て一度に弾くことを示しています。
2.5. 特殊記号の理解
タブ譜には特殊な記号もよく使われます。それぞれの記号が表すテクニックや動作を理解することは、タブ譜をより深く理解するために重要です。以下にいくつかの一般的な記号を挙げます:
h
: ハンマリングオン。弦を押さえた状態で次のフレットに指を打ちつけるように移動します。p
: プリングオフ。一つのフレットから別のフレットへ弦を引っ掛けて移動します。s
: スライド。「(」や「)」が併記されます。弦を押さえたまま上または下に移動します。x
: ミュートノート。弦を軽く触れて音を出さずに弾きます。b
: ベンド。弦を押さえたまま弦を上に引き上げます。
3. タブ譜の活用
タブ譜の利点は、誰でもすぐに始められるところです。五線譜が読めなくても、どのフレットをどの弦で弾くべきかが明示的に示されています。しかし、タブ譜にはリズムやタイミングの情報が不足していることが多く、曲のメロディーやリズムを事前に知っていることが前提となっています。この点に注意しながら活用すると良いでしょう。実際に曲を聴きながらタブ譜を追いかけることで運指やピッキングのイメージがつきやすいと思います。また近年は多くの楽曲の演奏動画がyoutube等にアップロードされていますので、こうした動画とタブ譜を双方見比べることでどう演奏しているか参考にすると良いでしょう。
4. 練習のコツ
タブ譜の読み方を理解したら、実際に手元のベースで試してみましょう。初めてタブ譜を読む場合、以下の練習のコツが役立つでしょう。
4.1. ゆっくりと確実に
初めてタブ譜を読むときは、まずはゆっくりと確実にフレットと弦を押さえる練習から始めましょう。速く弾くことを先に考えずに、正確にノートを弾くことを優先します。
4.2. 短いフレーズから始める
曲の最初から最後まで一気に弾くのは難しいです。まずは小さなフレーズから始めて、徐々に範囲を広げていきましょう。
4.3. リズムを意識する
タブ譜はノートの位置を示すものであり、リズムやタイミングの情報は明示的には書かれていません。ですから、曲のオリジナルのリズムを意識しながら演奏することが重要です。
4.4. よく見るテクニックを覚える
タブ譜にはハンマリングオンやプリングオフ、スライドなどのテクニックが頻繁に表現されます。これらのテクニックを覚えて練習し、それぞれの記号が何を意味するのかを理解することで、より多くの曲を弾くことができます。
5. まとめ
ベースのタブ譜は、一般的な五線譜とは異なり、弦楽器に特化した楽譜表記法の一つです。弦の配置とフレット番号を視覚的に表現しており、五線譜が読めなくても曲を演奏することが可能です。
しかし、タブ譜はリズムやタイミングの情報が不足していることが多いため、曲のメロディーやリズムを事前に知っていることが前提となります。また、ハンマリングオンやプリングオフ、スライドなどのテクニック表現を理解することで、より広範な曲を演奏することができます。
タブ譜の利点は誰でもすぐに始められるところにありますが、それを最大限に活用するためには、ノートの位置だけでなくリズムやテクニックも意識しながら練習しましょう。